解雇就業規則コンサルタント、社労士(社会保険労務士)のスペシャリストANGELO

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相談事例
解雇

試用期間と解雇パートタイマーの解雇解雇予告手当解雇予告通知
懲戒解雇整理解雇解雇の判断退職理由

【試用期間と解雇】
Q 今後は3カ月の試用期間を設け、その後正式に社員として採用するかどうかを決めることにした。そこで先日、社員にはできない者に辞めてもらったところ解雇手当を要求された。試用期間の終了で辞めてもらったのにそのようなものが必要なのだろうか。
A 必要になる。判例でも解雇そのものは正式に社員とされた場合より自由であるとはいえ、予告もしくは予告手当まで免除になるわけではない。

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【パートタイマーの解雇】
Q 正社員の解雇の場合はともかく、臨時工やパートなどに辞めてもらう場合は、予告とか予告手当とかは無しにしているのだが。
A 基準法違反となる。原則として、たとえ臨時やパートなどであっても総て基準法の適用を受ける。
 法律上は、正とか臨時とか、あるいはパート、アルバイトなど、呼称の概念からの区別差別は一切無しであることを改めて述べておきたい。
 くどいようだが使うほうも使われるほうも、契約期間や勤務日数、時間数といった労働条件において、正社員に比べて自由に決められるということくらいが区別されるところで、労働法上は何ら差がない。
 付記すれば、正社員であろうが臨時やパートであろうが、勤務期間や日数、時間数において一定以下の者は社会保険等が適用できないなど、法の例外規定がいくつかあるが、それすらも正社員とか臨時、パートなどの身分の問題ではない。
Q 当社のパート社員は6ヵ月の雇用契約を結んでいて、特に問題がなければ皆更新し、ほとんどのパート社員が5年以上勤務しています。ただ、この度、事業の縮小に伴い契約更新しなかったところ、パート社員から抗議されてしまいました…。
A 御社のように何度も契約が更新され、今後も継続雇用が期待される雇用においては、期間の定めのない労働契約と同じ考え方になります。つまり、契約期間が満了しても当然に契約が終了するものではなく、更新の拒否(雇止め)には、やむを得ないと認められる合理的な理由が必要となり、解雇予告(あるいは解雇予告手当)などの法的手続も必要となるのです。
 こういったトラブルを事前に、また穏便に処理するためにも、契約更新時にこれが最後の更新であることを説明し納得してもらうこと、さらに契約期間満了時には更新しない理由を話し、少なくとも30日前に更新しない旨を予告しておくとよいでしょう。

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【解雇予告手当】
Q 勤務態度の悪い従業員を解雇することになったが、その者は日給者であり、かつ出勤日数が極端に少ない。このような場合の解雇予告手当はどのように計算したらよいのだろう。
A このような場合には前3カ月間の平均を取るという通常の方法と、次に示す方法で計算した金額の、どちらか高い方を支給することになる。
 イ、先ず、過去3カ月間の当人の合計賃金を算出する。 
 ロ、次に、その合計賃金を労働日数(出勤日数)で割って、1日の平均賃金を算出する。
 ハ、次に、こうして算出された金額の60%の金額を計算する。
 ニ、それに、法で決められた30日を掛け算して出た金額が、予告手当となる。
◎ 計算例を示すと
 イ、例えば
   3月に10日出勤して 94,000円
   4月は3日出勤で   28,000円
   5月は13日出勤で 109,000円とすると
   合計26日出勤で  231,000円だから
 ロ、平均賃金は  
   23、1万円÷26日=8,885円 となる
 ハ、この60%だから
   8,885円×60%=5,331円
 ニ、この金額の30日分だから
   5,331円×30日分=159,930円となり
 これがこの計算での解雇予告手当である。この金額と前3ヶ月間の平均賃金との、どちらか高いほうが当人の解雇予告手当となる。
Q 仕事は怠けるし無断欠勤は多い。取引先とはよく喧嘩をするという社員がいる。腹に据えかねた上司が怒って、仕事が嫌なら辞めればいい、と言ったところ本当に辞め、解雇手当を支払えという。自分から辞めたのに支払う必要があるのだろうか。
A 第一に「仕事が嫌なら辞めればいい」と言ったことが問題である。言葉だけのことなので微妙だが、言い方によっては解雇宣告と受け取られても仕方がないからである。これはよくその上司に実際のところを聞いてみる必要がある。不注意な言動は慎むように管理者教育も必要だろう。
 第二の問題は、何故今まで注意なり制裁なりをしなかったかということである。怠ける都度、無断欠勤の都度、取引先と喧嘩の都度、注意や制裁をしていればあるいは当人も立ち直れたかもしれないし、仮に解雇と判断されるにしても、不当解雇のそしりは免れる。その辺を適当にしておくと、解雇は解雇でも不当解雇となって、問題はもっと大きくなる。
 上司が毅然とせず、顔をしかめるだけで放っておいたことが最も責められるべきことだ。これも、甘やかしとトラブルを恐れる事なかれ主義と、そして法を知らないための躊躇が招いた結果であろう。労務管理上はこのことの方がはるかに重大事である。
Q 事情により解雇しなければならなくなった者に解雇予告をし、30日以降に解雇することとした。だが本人はその後嫌々出てきているようでかえって可哀想なので、これまで働いた分(1週間ほど)に少し上乗せして支払い、もう出勤しなくてよいと言ってやろうかと思うのだがどうだろう。
A 本人のためを思って考えた対処法なのだろうがそのままではよくない。
 もう来なくてよいと言った時点で解雇の効力を発生させるわけだから、会社としてはこれまで働いた日数分の給与の他に、最初に予告をしたその期限までの残余日数について、解雇予告手当を支給する義務がある。
 相談の会社はそのようにして終了としたが、その後日談があって、他の社員たちの表情がそれからなんとなく違うのに気づいてその一人に聞いたところ、彼が解雇になったのはやむを得ないとして労働法を守ってきちんと処理した会社の態度に皆がほんわかした気持ちになっているのだという。
Q 今月末で辞めたいと言ってきた者がいる。実は早く辞めてもらいたいと思っていた人物なので賃金は支払うから明日から来なくてよいと言おうと思う。その場合は会社都合で休業させるわけだから6割の賃金でよいか。
A 答えは否である。この場合は労基法26条で言う「使用者の責に帰すべき事由による休業」にはならないから6割ではなく全額の支払いが必要。
 また、「明日から来なくてよい」という一言は、場合によっては会社側の意志による即時解雇と解釈されることもある。そうなると解雇予告手当としての、1カ月分相当の平均賃金の支払い義務が生じてくる。
 ここは本人の言うとおり、今月末で円満退職という事が良さそうだ。
 ちなみに使用者の責に帰すべき事由とは、例えば原料の入手難や機械設備の故障、受注減による操業短縮などの場合を指す。
Q 社内秩序違反者を解雇しようと思ったが、それでは当人の履歴に傷がつくと思い、退職願いを出させて自主退職とした。ところが当人は解雇手当を支払えと言う。支払わなければならないのだろうか。
A 結論は解雇であるから支払う義務がある。
 このケースもよくある相談で、同様の相談はこの1カ月で4件にも上る。
 話し合って退職願いを出させれば解雇ではないと思っている場合が多いようだが、話し合いという手法で半ば強制的に退職願いを出させること自体が解雇に当たる。
 会社としては当人のためを思っての処置であり、その点は非難されることではないのだが、労働法上の解雇としての予告、もしくは予告手当の支払いは免れない。

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【解雇予告通知】
Q 勤務態度の悪い人間に再三注意をしてきたが、改まる様子がないので解雇にしたいと思う。ついては30日前に予告をして解雇しようと思いますが、何か書面で残さなければいけないのでしょうか?
A 解雇予告については、法的には口頭でしても書面でしてもどちらでも良い事になっています。ただ、後々のトラブルを考えれば書面で残しておいた方がベストでしょう。
 勤務態度の悪さはどの程度なのか、再三というのは何度くらいか、注意は具体的にどんな方法でなされたかなどに疑問は残りますが、解雇予告の手続きについてのみお答えすれば、以上のようになります。

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【懲戒解雇】
Q 懲戒解雇したいのだがそれには監督署の認定が必要と聞いた。認定が得られなかったら懲戒解雇はできないのだろうか。
A 懲戒解雇そのものは監督署の認定とは無関係である。監督署の認定が必要なのは解雇予告期間をおかず、かつ解雇予告手当も支払わずに解雇する場合であって、それらをきちんと行うならば監督署の認定は不要である。
Q ある者を懲戒解雇しようとしたところ、基準監督署に届けをして認められなければそれはできないはずだと言う。どうなのだろう。
A 前にも似たケースを取り上げたことがあるが、懲戒解雇に監督署の認定云々は不要である。
 監督署に届けてその認定が必要なのは懲戒解雇などに伴う解雇予告をせず、予告手当も支払わない場合である。
 解雇予告もしくは予告手当という手続きをきちんとしての懲戒解雇であれば、監督署の認定は不用である。以前に、離職票に予告期間を置いての懲戒解雇と記したのに、監督署の認定がなければ懲戒解雇とは認めないと言った安定所職員がいたそうだが、おそらく新人だったのだろう。
 ただしその懲戒解雇は正当か否か、不当解雇にはあたらないかといった問題はまた別次元の問題であり、不当解雇と判断された場合には監督署が介入してくる事になるので注意。
Q 懲戒解雇にしようと思っていた者が退職届を出してきた。背信行為をした者なので腹の虫が収まらない。あえて懲戒解雇にしたいのだがどうだろう。
A 原則としてOKである。
 これは比較的よく相談されるケースであるが、若干の注意がある。まず第一は就業規則の記載がどうなっているかということ。そして、解雇申し渡し前に退職届を出してきた以上、返事保留のまま2週間を経過すると、自動的に退職となってもはや懲戒解雇処分はできなくなることなど。したがってその前に懲戒解雇の手続きを取らなくてはならない。
 また、当人がそれなりに非を悟って退職届を出してきたものを、あえて懲戒解雇処分にする必要があるか、といった妥当性の問題もある。その妥当性を認めなかった判例もあるから注意が必要。
 なお、これらに伴う退職金の支給、不支給の問題があるが、それは就業規則における退職金不支給の場合として「懲戒解雇処分のとき」という文言のほかに、「懲戒解雇該当自由の行為があったとき」という文言を入れておくことによって、必ずしも懲戒解雇ではなくても退職金不支給は可能である。
 懲戒解雇にせよ退職金問題にせよ、いずれにしても就業規則にいかに明記してあるかが問題の焦点となる。就業規則とは事程左様に重要なもの。どこからか適当なものを引用して事足れりと済ましていてよいものではない。

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【整理解雇】
Q 解雇をさせたい人間がいます。ただ、これといった解雇理由がありません。そこで業績が昨年に比べ下がったことを理由として、整理解雇にしたいと思うのですがいかがでしょう?
A 最近このような質問が非常に多い。業績が昨年に比べ下がったということなので、どのくらい下がったのか聞いたところ、リストラをするほどの事でもないらしい。要するに何か大義名分が欲しいがために無理矢理リストラということで解雇したいのだそうだが、そのような事はできません。リストラをするにもそれなりの要件がありその要件を満たさない限り認められません。ましてや前回の質問と同じようにある特定の人間を解雇させたい場合には、通常の解雇(状況によっては懲戒解雇)ということになりますので注意してください。

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【解雇の判断】
Q 理由は不明だが1ヵ月以上も休んでいる者がいる。何度連絡しても明日から出勤しますと言うだけで出てこない。社長は業を煮やして直ぐ退職にしてしまえと言うのだがどうしたものだろう。
A 何度もそのような状態であれば解雇の理由として十分であると思われるので、解雇扱いとしてはどうだろうとアドバイスした。
 質問者は、腹が立つので直ぐにでも自主退職扱いとしたいという趣旨であったが、それは出来ない。行方不明のような状態で連絡もつかないというなら他の方法もないではないが、このケースではちゃんと連絡はつくのであるから、本人が辞めると言っていないのに自主退職扱いは出来ない。法にのっとり、きちんと予告もしくは予告手当の解雇手続きをしなくてはいけない。
 前回にも述べたごとく、感情で処理して、後でもっとつまらない結果になる例は多すぎるほどに多い。
Q ある社員が仕事終了後同僚の何人かで居酒屋に飲みに行き、大声で騒いだため、隣の席の客とケンカになり、警察ざたになってしまった。とかくトラブルを起こす男なので解雇したいが今度のことは解雇理由になるだろうか。
A 結論から言えば解雇相当として良いだろう。
 飲みに行ったのは会社や業務とは何の関係もない私的な行為なので、場合にもよりますが、飲みに行ったということだけで解釈すれば、民事や刑事上の責任は負わされても、会社の懲戒には該当しない。
 しかしこの会社は地元で店を開く商業であるのに、当人たちが大声で騒ぐ中で会社の悪口も言ったらしく、相手にも警察にも周囲にいた客にも会社の名前が知れてしまい、後で会社の常連客から皮肉を言われもしたそうだ。
 最高裁判例でも、私的領域であっても会社の体面を汚し、名誉、信用を著しく失墜させたと判断された場合は懲戒やむなしとあるし、この会社の就業規則にもこのような場合は解雇との懲戒規程が定められている。
 若い人物なのでもう少し指導を重ねてみては、という気持ちはあるが、とかくトラブルを起こす人物ということであれば解雇もやむを得まい。
Q いくら注意しても改まらず、反発ばかりする従業員を解雇したいと思うのですが法律的に注意する点を教えてください。
A このような質問は非常に多いのですが、法律的に注意する点としては
1、規律違反の程度がどのようなものであるか、解雇が妥当な程度なのか。
2、上司としての管理不行き届きや教育に問題はなかったか。
3、改めるよう再三の注意を施したか。そして解雇に至るまでの間に段階的な制裁をしているか。
 などなどを勘案して、社会通念上やむを得ないと認められるなら正当な解雇として是認されるでしょう。これらの点に注意して慎重に事を進めてください。
Q 過去に何度も事故を起こしては取引先に迷惑をかけ、おまけに会社の決まり事も守らない者を解雇したら監督署に訴えると言ってきた。何かまずいことがあるだろうか。
A 内容をよく聞いてみたところ会社側に落ち度なく、解雇時の法定手続きもきちんとしていることが分かったので何もまずいことはない旨を伝えた。
 義務を果たさず権利ばかり主張する、とはよく言われることだが、昨今は権利にもならない事を権利と錯覚して主張する者たちも多い。会社側にも多くの問題はあるが、世の甘やかし風潮にも責任の一端があるように思う。こんなにも世の中が変わったのに、労働者は弱者、といった昔からの固定観念から脱却できないことが、自助努力を失わせ、甘えの風潮を助長しているような気がしてならない。
 使用者と労働者の関係を定めた労働基準法も、労働者側の権利と使用者側の義務ばかりではなく、双方の権利と、そして双方の義務の基準も、大いに盛り込むべき時に来ているのではないか。これは今日の教育荒廃にも繋がる重大問題であるように思う。

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【退職理由】
Q 当社は、会社規定に違反したために解雇する場合でも、本人が退職願いを出せば自主退職として解雇扱いにはせずに、退職金も支払ってあげることにしている。ところが先日、職業安定所から、本人は解雇されたと言っているがどうなのか、と問い合わせがあった。どういうことなのだろう。
A 当人が失業給付の手続きに行ったところ、書類は自主退職となっているが当人は解雇されたと言うので、どちらが本当かという問い合わせであったらしい。
 これは当然に解雇扱いにしなければならなかったケースである。
会社としては、退職願いを出せば解雇という不名誉な扱いにはせずに、自主退職としてやって退職金も支払ってあげようということで、むしろ本人のためを考えた処置のつもりであったようだ。
 そのような会社の恩情は理解できるが、公の書類まで事実を偽るのはよろしくない。内部の扱いはともかく、公的書類まで適当に考えて処理をするとたいていこのような結果になる。
 なかには今回のケースとは逆に、自主退職なのに解雇扱いにしてもらって失業給付を有利にしてもらおうという者もいる。会社も恩情のつもりで書類にそのように記してやるといったケースもあるが、法に抵触することはもちろん、やはりほとんどが後日問題を起こす。私たちの貴重な税金がこのような不心得者に使われるかと思うと腹も立つ。
Q 解雇相当の不祥事を起こした若い従業員を就業規則に則って解雇しようとしたところ、その親御さんから、当人の将来のために自己退職扱いにしてやってほしいと依頼された。どうしたものか。
A これはまた今どき珍しい相談だ。
 世の中にはこの相談とは反対に、自主退職なのに解雇扱いにしてもらって失業保険を有利に給付されようとする者の方が圧倒的に多い。
 個人的には私もこの親御さんに賛成だ。大袈裟なようだが目先の利欲よりも人間としての尊厳というか、人としてのプライドを大切にしようとすればそのような考えになるのだろうと思う。
 相談は、厳密に言うならこれも虚偽の申告になるのだろうが、この程度の虚偽なら許されよう。希望どおりにしてやってよいと思う。
 ただし、書類は自主退職としても予告期間を置くなど、実態としての解雇に関する法的条件は守ること、退職金なども解雇に沿った扱いになることを了解させるなど、建前はきちんとすることが大切。その上で、武士の情けを認めてやるということだろう。
Q 希望退職者を募って、10名程度円満に退職させたいと思っています。退職させたい人間がいるので、まずその人間から退職してもらいたいのですが。
A 解雇をするならともかく、希望退職者を募ったのであれば、企業側が任意に退職者を選ぶ事は出来ません。あくまで、本人たちの自主性に任せるしかありません。法的には自己都合退職となるわけですから。
Q 会社の金を使い込んだ者がいる。これまでもちょくちょくやっていたらしい。信頼していただけに腹立ちもひとしおで、即刻解雇したい。
A これは実は、「解雇したい」事に関しての質問や相談というのではなく、解雇したから手続をしてほしいというものであった。
 よく聞いてみると予告もせず予告手当も支払っていないし、退職金も支払わないという。
 感情は理解できないでもないし同情の余地もある。
 だが感情で処理してうまく収まったためしはない。
 私たちは真に会社のためのアドバイスを心がけており、会社のためにならないことであれば苦言を呈するに遠慮しない方針であるので、それではまずいことを指摘した。
 退職金は、就業規則にそのような場合は不支給とする旨の記載があり、内容が合致していれば判例でも一般的には認められているが、解雇予告もしくは予告手当は監督署長の認定がない限りうやむやにするわけには行かない。
 それらのことを伝え、よく考えて共に善後策を検討しようと話したところ、興奮している経営者夫婦は、会社の金を使い込んだ奴に何でそんなことする必要があるか、と、ヒステリックにわめくやいなや、当方との契約解除をやはりわめきながら伝えるとガチャンと電話を切った。
 やがて、しばらくして本人からの訴えで監督署が動き出し、かなり厳しく調べられた上、退職金までも支払わざるを得ない状況になったらしい。しかもそれらの不手際を株主総会で突き上げられた経営者夫婦は、経営悪化の責任をも取らされた形で相談役に退き、実質上の退陣となったということである。
 経営の大黒柱は人である。労働法を知らないということは単に知識の問題ではなく、せっかくのその価値を活用できないということであり、その嵐の恐さを知らないということでもある。
 数ヶ月前の実話であるが、社長夫婦には高い代償であった。

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